柔らかくて強い人  河野理恵子

久山さん、お久しぶりです。
仁子さんからshiromasa.comに投稿記事をとのお話いただいたとき、実は少しだけためらいました。久山さんや仁子さんのまわりには素敵なお友達がたくさんいらっしゃるのに、私でいいのかしらと。でも、せっかくなので受けちゃいました。図々しくてすみません。僭越ながら、久山さんにお便りさせていただきます!

この機会にかつての仕事ファイルをひっくり返してみましたよ。久山さんと初めて会ったのは、2008年5月。お名前だけは前職の頃から知っていたので、もっと前から知り合いの気分でしたが、初対面は今から7年前のことでした。

あの頃勤めていた婚礼専門の広告代理店での私の仕事は、基本的には広告営業で、時おり撮影ディレクションもといった具合でした。撮影といっても会場のハコ撮り中心で、モデル入りの大きな撮影は、その2008年の久山さんとの仕事が初めて。モデル入りはハコ撮りよりスタッフも多くなりますし、私にとってはいつもより手のかかる案件でした。クライアントは今までで一番お世話になった結婚式場。先方の担当者はどんなに小さなこともなあなあには済まさない厳しい方。根がびびりな私としては、頼りになるカメラマンと仕事がしたい。というか、できればピンチのときは助けてほしい。そんな弱気と邪心でいっぱいだったときにご紹介いただいたのが久山さんでした。

事務所での顔合わせは思い出せないのですが、ロケハンのときに、やけにラフな格好でふらりと現れたのを覚えています。あれはアロハシャツだったのかな。なにせ南国調。頼れるカメラマン願望のあった私は、「服装は・・・関係ない。話も…何となくざっくりだけど、きっと大丈夫。私よりずっと年上だぞ。年の功だぞ」そんなことを心に言い聞かせていました。

心配をよそに、撮影は無事終了。大成功でした。4か月もの準備期間中は神経質に過ごしていましたが、ふたを開けてみれば本当に楽しい現場でした。早朝から深夜までの長丁場。夜も更ければ、当然みんなに疲れが出てくるものですが、久山さんの無理しすぎない空気が自然と現場を包んでくれましたね。結婚式場の写真は、どうしたって幸せいっぱいでなくてはなりません。頑張って無理すぎても良い写真は撮れないのです。なんというか、「良い加減」でした。撮影が終わるころには、モデルたちも会場スタッフさんもすっかり久山さんペースで。頼れるカメラマン願望、叶いましたね。ありがとうございます!

私が転職したこともあり、この後仕事でご一緒したのは数えるほど。残念です。でも、ご飯を食べに行ったり、久山邸におじゃましたりして、ジェットコースターのような久山さんの人生を垣間見ることができました。いろいろ聞きながら、「この人は包み隠さず何でもしゃべるなぁ」と少し不思議に思ったことがあります。今よりずっと尖っていた30代の私には、その力の抜け具合の凄さが十分に理解できていませんでした。良いことも、悪いことも、格好いいことも、ちょっぴり情けないことも、久山さんはいつも笑いながら話してくれました。あの柔らかさの中にものすごい強さが秘められていたこと、その後の闘病からガツンと思い知らされることになろうとは…。

久山さん、私ね、最近は肩の力が抜けてきましたよ。身の丈以上にちゃんとしようとか、格好よく見せようとか思わなくなりました。今ならあの頃の久山さんともっと楽しくお話できるような気がします。少しは成長しているかな。今を思いきり楽しんでいきますね。これからも見ていてください。私、もっともっと柔らかくて強い人になりますね。

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河野理恵子

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