筋肉を鍛えるんだ   -Hitobon

久山はフリーのプロカメラマンとして30年以上写真を撮り続けました。その活動範囲は多岐にわたり、様々な職種のコマーシャル写真から雑誌・装丁・旅・ポートレート・アパレル・ブライダル・・・とマルチに対応できる希少なカメラマンでした。その為、カメラや機材の種類も多く、空撮や極寒での撮影、危険を伴う撮影や単独海外ロケなどとても体力を使う仕事を多数こなしていました。

若いころに体操や少林寺拳法をやっていた影響もあって体は柔らかくて俊敏。弓道をたしなんだからかカメラの構え方は弓矢を射る形に似ていましたし、いつも背筋を伸ばして堂々とちょっと偉そうに歩いていました。

そんな久山は、2010年ごろスポーツトレーナーでありグリコパワープロダクションの企画開発でも有名な桑原弘樹さんに仕事で出会い、体作りのことやビタミンのことなどを熱心に教わっていました。癌がわかってからも「オレ、病人にはなりたくないんや」と桑原さんお薦めのプロテインやビタミンを毎日欠かさず飲んでいました。

いつもカッコ良くいたい人だったので、そういう意味でも体を鍛えるのは大好きでした。時間があればジムに行って黙々とトレーニングに励み、パンパンになった筋肉を「どーや!すごいやろー」と自慢していました。ですからジム通いをストップせざるを得なくなったときは、本当にそこまでイライラする?と思うほど「ジム行きたいよー、行ったらアカンかなあ、行きたいよー」とじたばたしていました。抗がん剤の治療中は骨髄抑制(骨髄の機能低下)により赤血球・白血球・血小板の数値が下がり細菌感染しやすくなる為、人ごみは避けなければいけません。私は、「筋肉作りより安静でしょ!」・・・と言いませんけど思っていました。
ある日のこと。嬉しそうにパソコンをいじっていたかと思ったら、「そうや、家でやったらええんや!」と目を輝かせてベンチプレスとバーベルセットを検索する久山。早速一式オーダーして、アトリエはスペースの半分以上がトレーニングコーナーになりました。それからと言うものは、調子がいいときはベンチプレス、テレビを見ながらダンベルの上げ下げ、と汗を流していました。写真は、2013年6月。闘病1年4ヶ月が過ぎたころです。とても末期癌患者とは思えない体とパワーです。

久山が亡くなってから桑原さんにお礼のお手紙とトレーニング中の写真を送ったら、早々にお返事をいただきました。そこには、こんな1文がありました。

久山さんはこんなことも言っていました。「桑原さん、人間の体の中で一番最後まで成長するのは筋肉だって教えてくれたよね。棺桶に入ったときに、オレがやせ細ったみすぼらしい姿じゃあいつが悲しむよ。だから余命にかかわらず筋肉を鍛えるんだ。」

そんなふうに思っていたなんて、桑原さんに教えてもらうまで全く知りませんでした。

痩せてしまった今の私を見たら「ひとぼん、なにやってんねん!」って怒るでしょうね。
久山が悲しまないようにまず心の筋肉を鍛えなきゃ。

Hitobon

20130601

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