久山さんとの想い出の中で欠かせないキーワード「エビマヨ」
「横浜の中華街にめっちゃくちゃ旨いエビマヨがあるんやけど、食べに行かへん?」
この言葉に誘われ、作品撮りの場所が決まった。
2011年の11月、久山さんの病気が見つかる少し前のことである。
毎年モデル活動のための作品(宣材)撮りを久山さんにお願いしており、秋口の打ち合わせから撮影まで、色々な話をするのが僕の楽しみでもあった。
爽やかな秋晴れの中、撮影は朝から順調に進み、中華街のネオンが灯る頃にはラストカットが終了。
手早く片付けを済ませ、感を頼りに迷路のような路地裏を突き進む久山さん。
「たしかこの辺なんやけどぉ」と迷わず最終目的地、フクロウに到着。
エビマヨを中心に注文を済ませ、笑い話をしながら待つこと数分、噂のエビマヨが運ばれてきた。
しばし会話が止まり、大ぶりのエビマヨに見入る一同…
さっそく一口頬張るとすぐに「これやこれ、ほんまに旨いなぁ」と大満足の久山さん。
確かにここのエビマヨは旨かった。ただそれ以上に久山さんの本当に嬉しそうなえびす顔が今でも強烈な記憶として蘇る。
店を出る頃には「どうやったらあのソース作れるんやろ?」と早くも好奇心の眼差しに変っていた。
いくつになっても色褪せない好奇心と自分の感情をストレートに伝える力、これは久山さんからエビマヨを通じて教えてもらった大切なメッセージだ。
池田 正樹