写真家・久山城正の何が面白いって、やっぱり・・ここ - 河野浩士

<最初の出会い>

久山さんとの最初の出会いは、何泊かしながら、山梨と長野のワイナリーを片っ端から巡るという、雑誌の取材の仕事をしたときでした。
何年前のことだったか、ともかく、それは久山さんが東京に来たばかりのことだろうと思います。

まったくの初対面にもかかわらず、いつの間にか、一緒に仕事をする楽しさに引き込まれ、帰路につく頃にはすでに友だちと言っても良い関係になっていました。
今思っても、本当に不思議な人ですね、久山さんは、人と人の垣根をいつの間にか取っ払ってしまうのです。

そのときに、じつは出身が岡山で同郷であることが分かり、しかも、久山さんは姉妹校のような県立高校の先輩であることが判明しました。とはいえ、たぶん・・・べつに同郷であろうが無かろうが、そんなことはまったく関係なく、結局私はは久山さんの魅力に引き込まれていたのだろうと思います。

そのあと、私は途中で弁護士になったりと、いろいろ紆余曲折がありましたが、久山さんとの付き合いは途切れることも無く、ずっと続きました。一緒によく旅にも出ました。

<これはすごい、面白い!>

そして、そんな付き合いの中で、写真家としての久山さんの魅力と、人としての久山さんの魅力はおそらく完全に重なっているのだということが、分かってきました。あくまで私にとってはですが。

そうなんです
「これを奇麗に撮影してください」と言われて、美しく魅力的な写真を撮ってくれる、安心できるカメラマンは大勢います。
しかし、久山さんの魅力はそこではない気がします。むしろ安心できないところ!そこが好きでした

「え〜、これってそういう風に見ることもできるんだ!」

『えええ、なんか不思議・・・」

「そうか、こんな角度で見てみたら、別のものになっちゃったじゃないの」

どこをどんな視点でどう切り取ってくるのか・・・新しい視点を提供してくれる、それが私にとっては、写真家・久山城正の魅力でした。ベトナム関係の写真や、東日本大震災の写真もそうです。

<そ・し・て・・・>

そういう新たな視点の提供は、じつはカメラを持っていても、いなくてもできるわけです。

一緒に出かけているときに、「こっちから見るとこれが面白い」とか、雑談しているときだって、「え〜そんな常識はずれなこと・・でもいいなあ〜」なんてまったく違う視点からの物の見方を教えてくれたりとか。もしかすると、カメラを持っていなくても表現できる新種の写真家なのかもしれません。

もっと活躍して、面白い写真、面白い話を提供してほしかった。でもしかたありません。彼が遺してくれた多くの視点をせめて、より多くの人の楽しんでもらえたらと思います。

河野浩士

 

1 Comment

  1. とにかく、色んなものをよーく見てましたねえ。
    歩いてる時、電車に乗っている時、テレビをみている時、、、「あれ何?」「あれ変!」「なんじゃあれ〜!?」ってしょちゅう言ってました。
    声がおっきいので電車の中では一緒にいて恥ずかしかったんですけど。。。どうしてそんなに色んなものが見えるのか不思議でした。

    Hitobon

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